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ささやかな休日1 [ささやかな休日 【ショートショート】]

 年老いた夫婦は、寿司屋を営んでいた。寿司屋の名前は「寅寿司」。

 しかし、夫婦はこの寿司屋をいつ閉店させるか、そればかり考えていた。
古びたカウンターは、客が溢した醤油あとで、所々滲みになっていた。
閉店の時期で、この夫婦が悩んでいるのは、一定の馴染みの客が離れないことだった。

 今日も店は、満席だった。馴染みの客の一人である山井玄介が、仲間を十人も引き連れてやってきていた。

 「玄さん、いつもありがとうね」

 「いいよ、寅さん。若さんの握りは絶品だからね。ネタも新鮮だし」

 若井寅蔵は、苦笑しながらも「うちは、それだけが取得だからね」
少し自慢げに言った。

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下手の考え休むに似たり [お知らせ]

 「下手の考え休むに似たり」という諺があります。

 意味は、「よい考えも浮かばないのに長く考え込むのは何の役にも立たず、時間の無駄である」・・・。
そこで、下手に考えるのは、やめて、取り敢えず書き始めることにします。

 お題は、『それぞれの人生』・・・。

 内容は、義務教育の現場、つまり、小学校と中学校を舞台に、体罰を中心とした管理教育を行った複数の教員が、その後に歩む「人生」を描きます。

 来週からスタートの予定です。


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台風が接近中です [お知らせ]

台風が接近中です。
27号・28号です。

伊豆大島では、全島避難並みの警戒がされています。
身重な方や乳幼児、高齢者のみなさんは、すでに、避難されました。

最後まで、島を出ることに迷われた方もいるようです。

大島だけでなく、その他の地域も被害が出ないことを祈るばかりです。

ブログにお越しの皆様も、十分警戒されてください。


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営業マン 長島幸四郎2 [営業マン 長島幸四郎 【小説】]

 時計の針は、午前7時30分を指していた。幸四郎は、部下の上村と待ち合わせている喫茶店にいた。勤務先とは反対側で、渋谷の宮益坂を登りきった角にある小さな店だが、密談にはいつもここを使っていた。

 上村を待つ間、幸四郎はメールのチェックを行っていた。家を出る前に、居留守を使った相手である浜村からのメールがあった。内容は、予想通りのものだった。

 「重要 草叢システムの件で連絡を」

 幸四郎は、取り敢えず、無視することにした。

 店に備え付けられているテレビでも、草叢システムのニュースが映し出されていた。幸四郎は、手帳を取り出し、可能な限り、メモを取った。

 ニュース番組から情報をまとめると・・・、

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営業マン 長島幸四郎1 [営業マン 長島幸四郎 【小説】]

 幸四郎は、朝のニュースに釘付けだった。

 日課であるランニングを済ませ、シャワー浴び、爽快な朝を迎えていた。妻の真希が作った朝食は、いつも洋食だが、和食党の幸四郎の胃袋を満足させていた。幸四郎のお気に入りは、スクランブルエッグで、今日も、その味には変わりがなかった。

 朝食を済ませ、二杯目のコーヒーを啜っている時、そのニュースは流れ始めた。

 「太陽光発電関連のベンチャー企業である株式会社草叢システムが、詐欺容疑で強制捜査を受ける。社長以下、経営陣の逮捕は時間の問題か?」

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お知らせです [お知らせ]

★皆様、ご支援ありがとうございます。

『営業マン 長島幸四郎』・・・書き始めました。水・木での更新を目標にしています。

『横南高校物語』・・・土・日での更新を目標にしています。

今後とも、宜しくお願い致します。


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横南高校物語3 [横南高校物語 【学園物語】]

 瑶子は、週末までに終わらせねばならない、宿題に取り組んでいた。
でも、あまり捗っていなかった。理由は、薫子が知っていたことだ。そう、亜紀子がソフトボールをやめて、
音楽に打ち込むという事実を知っていたこと。それが、どうしても引っかかっていた。

 「どうして、薫子が知っていて」・・・頭から離れなかった。

 瑶子は、自分の携帯電話を取り出して、徐に電源を入れた。亜紀子からの連絡は、携帯電話にも、未だに無かった。

 瑶子は、登録している短文投稿サイト『モノローグ』を立上げ、ログインした。そして、書き込んだ。

 「親友に、裏切られた」

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横南高校物語2 [横南高校物語 【学園物語】]

 薫子の実家は、「ショパン」という小さな喫茶店を営んでいた。小さいといっても、この地域では、そこそこの規模の喫茶店だった。フロアは、1階と2階に分かれていた。1階には、カウンター席とテーブル席が20席ほどあった。2階には、直径3メートルの円盤1枚板ものの屋久杉を使ったテーブル席とソファ席が10席ほどあり、フロアの奥には、アップライトピアノが置かれていた。2階フロアでは、月に一回、地元の音楽教室主催の音楽会も開催されていた。瑶子と亜紀子は、この音楽会の常連客でもあった。

 瑶子は、薫子に電話を掛けた。

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横南高校物語1 [横南高校物語 【学園物語】]

 横浜南山高校(よこはまみなみやまこうこう・通称:よこなん高)は小高い丘の上に設立された男女共学の高校である。学校の運営は、神奈川県がおこなってる。つまり、県立高校である。1学年12クラス、3学年で36クラス。1クラス平均30名の生徒を抱えるマンモス高校の一つである。

 亜紀子は、男子バスケットボール部のマネージャーをしていた。彼女の夢は、音楽の先生になることだった。故に、音楽大学への進学は、亜紀子にとって重要なことだった。中学時代は、ソフトボール部でピッチャーを任されていた。「エースで4番」というわけにはいかなかったが、チームの中心選手であった。誰もが、高校でソフトボール部に入部し、インターハイを目指すと思っていた。しかし、亜紀子は、その道を選ばなかった。

 理由の一つは、「指」を守ることだった。ソフトボールへの未練が、無いわけではなかったが、現実主義の亜紀子にとっては、それが一番ベストな選択だった。

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