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営業マン 長島幸四郎 【小説】 ブログトップ

営業マン 長島幸四郎4 [営業マン 長島幸四郎 【小説】]

 幸四郎は、上村の眼をじっと見つめていた。そして、大きく息をした。

 「上村、実は・・・、」

 その時だった、店のドアベルが鳴った。 「やっぱり、ここにいたか」

 幸四郎が振り返ると、浜村がすぐ後ろにいた。

 「俺も、入っていいか」
そう言って、浜村は、上村の隣に座った。

 「浜村さんがどうしてここへ?」

 「うん、ちょっとね」

 「野次馬根性で首突っ込むのは、止めて下さい」

 「おいおい、失礼なこと言うなよ。心配してここまで来たんだぜ」

 幸四郎は、項垂れながら、内心ホッとしていた。

 浜村は、店のマスターを自分で呼んで、アイスコーヒーを注文した。
 

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営業マン 長島幸四郎3 [営業マン 長島幸四郎 【小説】]

 上村が、息を切らせて席に着いた。

 「お前も、ブラックでいいか?」
幸四郎は、汗だくの上村に尋ねた。

 「すいません、僕、まだ何も食べてないので、モーニングにします」

 「OK。マスター、モーニングを一つください」

 「はいよ」
店の奥から、この店のマスターが低い声で答えた。

 「早速ですが、主任は草叢の件を、いつ知ったのですか?」

 「今朝のニュースが、初めてだ」

 「本当ですか?」
 上村は、幸四郎に迫った。

 「本当だよ。俺を疑うのか?」

 「疑ってはいませんが・・・、少しショックです。主任が知らなかったなんて」

 「おいおい、俺だって、万能じゃないよ」

 社内外で、情報通で知られる幸四郎だったが、今回の件は彼自身、寝耳に水の話であった。上村の顔は、今までにない表情を浮かべていた。

 額の汗を度々拭いながら、上村は言った。


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営業マン 長島幸四郎2 [営業マン 長島幸四郎 【小説】]

 時計の針は、午前7時30分を指していた。幸四郎は、部下の上村と待ち合わせている喫茶店にいた。勤務先とは反対側で、渋谷の宮益坂を登りきった角にある小さな店だが、密談にはいつもここを使っていた。

 上村を待つ間、幸四郎はメールのチェックを行っていた。家を出る前に、居留守を使った相手である浜村からのメールがあった。内容は、予想通りのものだった。

 「重要 草叢システムの件で連絡を」

 幸四郎は、取り敢えず、無視することにした。

 店に備え付けられているテレビでも、草叢システムのニュースが映し出されていた。幸四郎は、手帳を取り出し、可能な限り、メモを取った。

 ニュース番組から情報をまとめると・・・、

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営業マン 長島幸四郎1 [営業マン 長島幸四郎 【小説】]

 幸四郎は、朝のニュースに釘付けだった。

 日課であるランニングを済ませ、シャワー浴び、爽快な朝を迎えていた。妻の真希が作った朝食は、いつも洋食だが、和食党の幸四郎の胃袋を満足させていた。幸四郎のお気に入りは、スクランブルエッグで、今日も、その味には変わりがなかった。

 朝食を済ませ、二杯目のコーヒーを啜っている時、そのニュースは流れ始めた。

 「太陽光発電関連のベンチャー企業である株式会社草叢システムが、詐欺容疑で強制捜査を受ける。社長以下、経営陣の逮捕は時間の問題か?」

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