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横南高校物語2 [横南高校物語 【学園物語】]

 薫子の実家は、「ショパン」という小さな喫茶店を営んでいた。小さいといっても、この地域では、そこそこの規模の喫茶店だった。フロアは、1階と2階に分かれていた。1階には、カウンター席とテーブル席が20席ほどあった。2階には、直径3メートルの円盤1枚板ものの屋久杉を使ったテーブル席とソファ席が10席ほどあり、フロアの奥には、アップライトピアノが置かれていた。2階フロアでは、月に一回、地元の音楽教室主催の音楽会も開催されていた。瑶子と亜紀子は、この音楽会の常連客でもあった。

 瑶子は、薫子に電話を掛けた。

「あした、ショパンに行ってもいい?」

 瑶子は、薫子に尋ねた。

「全然いいけど・・・。何かあったの?」

 薫子は、瑶子に尋ね返した。

「大したことじゃないんだけど。亜紀子と一緒にお邪魔しようかと思って」

「いいよ、でも、わたし明日いないかもしれない。わたしいたほうがいいの?」

「うん~ん、大丈夫だよ」

「ほんと?」

 瑶子は、少し考え、もう一度、「大丈夫だよ」と答えた。

「何か、わたしに相談ごとでもあるの?」、と薫子は瑶子に問いかけた。

「亜紀子のことでちょっと」

「ちょっとって?」

「亜紀子ねぇ、ソフトボール止めちゃうの。それで、その理由とこれからのことを色々と。」

瑶子の返答に、薫子は・・・、「わたしは、聞いていたけど・・・。ピアノに打ち込むんじゃないの?」

 瑶子は、少しショックだった。「薫子には話して、私には・・・」心の中で、そう呟いた。

 薫子は、瑶子を気遣うように、「瑶子は聞いてなかったの?」と尋ねた。

「うん~ん、そうでもないけど・・・。」

瑶子は、少し嘘をついた。

 瑶子は、自分が亜紀子をずっと応援していたことや、亜紀子がソフトボールをやらないなら、バスケ部のマネージャーを一緒にやりたいと思っていることや、何より、高校生活の3年間で、亜紀子との思い出を作りたいことなど、薫子に打ち明けるつもりだったが、その嘘で打ち消した。

 ・・・そして、少し間が空いて、薫子は明るく、「じゃ、お父さんに言っておくから、ゆっくりしていってよ」

そう言って、薫子は受話器を置いた。

 瑶子も受話器を置き、再び受話器を取った。そして、亜紀子の携帯電話の番号を押した。

「はい、亜紀子です。ただいま留守にしています。メッセージをどうぞ」

 ・・・「留守か?」瑶子は、受話器を置いた。そして、もう一度、亜紀子の携帯電話の番号を押した。

「はい、亜紀子です。ただいま留守にしています。メッセージをどうぞ」

「瑶子です。明日空いてる?もしよかったら、久しぶりにショパンに行かない?連絡待ってます」

 そうメッセージを残して、瑶子は電話を切った。

 瑶子は、亜紀子からの連絡を待つ間、週末までに終わらせねばならない、宿題に取り組むことにした。



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cocoa051

読みながらむかしの「夢」を思い出しています。
近日中にupの予定。
by cocoa051 (2013-10-20 14:29) 

獏

小生の拙いブログにお越しいただきありがとうございます^^)

by 獏 (2013-10-20 19:56) 

chokou

cocoa051さん
楽しみにしています。

獏さん
こちらこそ、訪問・nice・コメントありがとうございます。
今後とも宜しくお願いします。
by chokou (2013-10-20 20:41) 

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